こんな人にオススメです。
ベンチャー企業への転職希望者の中には、ベンチャー企業は退職率が高く社員の入れ替わりが激しいというイメージを持たれている人も多いのではないでしょうか。
退職理由は、当然人それぞれですが、
- 入社から退職するまでの在籍期間
- 退職時の年齢
- という2つ軸で調べていくと傾向が見えてきます。
また、入社からの在籍期間が短いほどネガティブな理由で退職する傾向にあります。
この記事では「ベンチャー企業を退職する理由」について、うち(著者が勤める企業)の会社に勤めていた人に退職後インタビューを行い「その生の声」をご紹介しながら解説してきます。
私は32歳の時「ITベンチャー企業」に初転職しました。
職種は「営業職」そのままに、業界は食品商社(酒卸売)からIT企業(ECプラットフォーム)へと180°変えました。転職から2年たち営業部で成果を残し、現在は管理部で新たなキャリアを構築しています。
①ベンチャー企業を退社する理由
ベンチャー企業は離職率が高いのか
ベンチャー企業は退職率が高く社員の入れ替わりが激しいと言われますが、本当にそうなのでしょうか?
正確なデータはありませんが、大企業に比べてベンチャーのほうが圧倒的に高いと言えます。それは、ベンチャー企業が常に成長(業績を伸ばす)し続けないと生き残れないからです。
大手企業に比べてベンチャー企業は、リソース(人・モノ・金)が足りていません。そのため、世の中のニーズや市況感にあった事業戦略を常に考え自分たちをいち早く変化させていく必要があります。
その過程においてビジネスも変化していきます。
急激な環境変化がおきて、その変化に対応できない人が発生します。また、環境変化に対して人の考え方も変わるためベンチャー企業は、人が流動的に動きます。
大企業は良くも悪くも安定しているので、ベンチャー企業と比べれば離職率が低いまま推移します。
また、離職率が5%を下回っているベンチャー企業は、とても優秀な企業に思えますが、離職率が著しく低いベンチャー企業はかえって問題です。
それは、なぜか?
新陳代謝が起こらないためベンチャーの良さが失われているとも言えるからです。
環境変化の激しいベンチャー企業では一定数の離職率はとても大切なことです。
新陳代謝が行われず「創業期」や「シード期」に入社したメンバーが残り続けていることは企業成長の阻害につながります。
「退職」と聞くとネガティブなイメージを持ってしまいがちですが、人が流動的に動くことはとても重要なことです。
ではベンチャー企業を退職する人は、どのような理由で退職をするのでしょうか。
退職理由として多い理由を6つのにわけて解説していきます。
入社前と入社後のギャップの差が大きかった
転職後、短期間で退職してしまう人の特徴は「なんか入社前にイメージしていたのと違う」というギャップです。
この「なんか違う」というギャップの幅が大きいほど早期退職につながります。
入社後にそのギャッツをどんなに埋めようと努力しても手遅れです。
ギャップとはすぐに埋められるモノではありません。
また「なんか違う」というストレスを抱えながら日々業務に当たらなくてはならないため、入社して業務内容もわからない上にパフォーマンスも低くなります。
ギャップが大きいと感じたら、無理をして続けるのではなく早急に退職することをオススメします。
では、なぜギャップが生まれるのでしょうか?
それは、求職者自身が転職先の企業をもっと深く知る努力が足りないために起こります。
- 転職エージェント、転職サイトからの情報
- 企業のHP情報、ネット上の情報
- 面接での情報
多くの人は、この3つから入社前の情報を得ています。
しかし、これだけでは圧倒的にたりません。
何が、足りないのか?
それは「現場」です。実際働く「環境」です。
大切なのは内定後、会社に何度も足を運びギャップをなくしていくことです。
具体的には、
- 実際の会社の雰囲気を知る
- 配属になるチームや部署の人との交流をとる
- 交流する中で現場の生の声を聞く ことです。
内定後、人事の人に上記のような機会を作ってもらうことが重要になります。
「えー、なんかそこまでしてもらうのは気が引ける」
「そこまで、セッティングしてもらうのは申し訳ない」と感じる人もいるかと思います。
全然、申し訳ないことではありません。
むしろ、入社後にギャップに苦しみ早期退職する方が迷惑です。
また、内定後に「現場を知りたいと」と伝えても、理由をつけて現場を知る機会を提供してくれないベンチャー企業には入社しない方がいいです。
なぜなら、見られては不都合なことがある=ブラック企業である可能性が高いからです。
また、ギャップが生まれやすい人の特徴は、
- 大手企業からの転職者
- 異業種からの転職者 になります。
例えば、大手企業よりベンチャー企業に勤めている方がより早く成長できると聞きベンチャー企業に転職したのに、実際は定常業務に追われてやりたい業務が全くできず成長を感じられないなどが挙げられます。
このように転職前のイメージと現実のギャップに苦しみ「早期退職」をする人が多くいます。
ベンチャー転職で「後悔したくない、失敗したくない」人は、以下の記事もあわせて読んでください。
人間関係
ベンチャー企業にかかわらず、常に会社を退職する理由の上位に君臨し続ける理由の一つです。
人間関係は、実際に入社してからでないとわからない部分が非常に大きいです。働く上で最も大切なモノの一つであるにも関わらず、入社前に得られる情報はごくわずかです。
人間関係や職場環境を「ガチャ」にしないために、人間関係に関しても、
大切なのは内定後、会社に何度も足を運び「どんな人と一緒に働くのか」「自分と合わない可能性がある人が存在しないか」確認をする必要があります。
自分を変えることによって、その人間関係に適応することもできますが、それも限界があります。なぜなら、自分は変えられても他人は変えることができないからです。
入社後、会社の同僚と人間的に合わない場合は、異動や転職をして自分にあった環境を探すのがBESTです。
ストレスの大きな人間関係の中で働いても成長実感は得づらく、心身に大きなダメージを負ってしまうこともあり得ます。
会社の成長性を感じ無くなった
市場環境の変化が激しい現在において、今まで順調に業績を伸ばしてきた企業が一転、不振に陥ることは珍しいことではありません。
前期まで売上の柱であった事業が、今期は赤字ということもあります。
好調な時は、採用も積極的に行い人の流動性も活発で会社に活気があります。
しかし、業績が不振に陥ると採用活動を一時中止し今いるメンバーでどのように戦っていくかを考えるようになります。
また、コストの見直しを頻繁に行い無駄を積極的に省いていきます。
これ自体は、企業として当然ですし問題はありません。
問題なのは、この期間が長期化すると会社の雰囲気も暗くなり、勢いそのものが失われていきます。
会社の業績が好調な時は会社全体に勢いがあり、自分自身の成長も実感しやすくなります。
しかし、業績が低迷している場合、自分の成長も感じずらく「このまま、この会社にいるより業績が伸びている企業」への転職を考えはじます。
私個人としては、この考え方は正しいと思っています。
道半ばで愛着のある会社や仲間を裏切るようで心苦しく感じますが、市場の変化が激しい現代において、そのまま業績が下がり続け会社が倒産することもあります。
一個人の頑張りだけでは、何もかえられません。
自分の将来のキャリアを考えた時に、斜陽産業や業績が不振な企業に居続けるより、見切りをつけて転職をすることをお勧めします。
転職前に描いていたキャリアが全く実現できない
転職前に次の企業では「カスタマーサクセスの業務がしたい」「マーケティングがしたい」「マネージメントがしたい」など、
キャリアアップのために、今の職場では経験できなかった業務を経験するために転職をする人がいます。
しかし、内定時に約束されていた業務も入社後、会社の事業戦略の変化などにより約束されていた業務に携われなくなることは多くあります。
それは、なぜか?
企業は世の中のニーズや市況感にあった事業戦略を常に考えなくてはなりません。企業は常に成長し続けていかなくてはならず、その過程においてビジネスも変化していきます。
ビジネスが変化すれば業務内容にも変化が生じます。場合によっては就いていた仕事がなくなることもあれば、別の仕事をお願いされることもあります。
企業において一番重要なことは「その企業の事業成長」です。
事業成長なくして生き残っていくことはできません。
大企業と違い、同じ部署やチームで長年働くことは少なく、大なり小なり毎月のように人事異動や部署の再編成が行われます。
そのため「仕事に対して人を当てはめる」という考えのもと人事が決定します。
一個人やその部署の「部分最適」ではなく、企業が事業成長を続けていくために「全体最適」として物事を判断します。
自分のキャリアを考えた時に、経験したい業務内容が具体的にあることは良いことですが、その考え方に固執するのはきけんです。
先ほど、お伝えした通り、
企業は事業成長をし続けるために「仕事に人を当てはめる」という考えのもと、最適な人材配置を行います。
にもかかわらず「マーケティング以外の仕事はしたくない」「営業はしたくない」と自分のことばかり考えていると人は、その企業にとって不要な人材になっていきます。
私も前職で営業経験しかなく、現職も営業職(インサイドセールス・カスタマーサクセス)として採用されましたが、入社から1年8ヶ月が経ったときに、管理部(情報管理、債権管理、出店管理)に異動になりました。
営業畑での経験しかなかったため、不安もありましたが、
部署が変わったことで、会社全体を俯瞰して捉えることができるようになり、正直、管理部に移動になって将来のキャリアの選択肢も広がりました。
異動をポジティブに捉えて、与えられた業務で「成果」を出し続ける。
それが、営業職でもバックオフィス業務でも「成果」を出して、どんどん部署を横断しできる業務の幅を広げていくこと。重要なのはこれです。
それが、できる人はどんな環境でも成果を残すことができる市場価値の高い人材です。
金銭面(給与 / 年収)
「給与が上がらない」最も多い退職理由の一つです。
- 成果を出しても会社から思うように認めてもらえない
- 役職が与えられたのに、役職と給与が紐づいてない(給与の上がり幅が低い)
- 入社してから一度も給与が上がっていない
- この会社で給与が上がっていくイメージを持てない
などの理由により、入社後、1年〜3年くらいの中期で退職をする人がいます。
当初の転職理由は、金銭面ではなく「スキルアップ」や「自己成長」のために転職をしたはずなのに、
歳月が経ち結婚や子供が生まれ自分の置かれている環境の変化にともない「スキルアップや自己成長」よりも「給与や年収」の方が重要になり、思うように上がらない年収を理由に退職をする人は多くいます。
しかし、転職をする理由が給与や年収などの「金銭面」が「目的」の転職はオススメしません。
転職により給与が上がる人もいますが、その人たちは成果を残した後に、さらなるキャリアアップを考えて転職した結果、給与も上がったケースになります。
金銭面で転職をした場合、必ずその先の人生も金銭面で転職をすることになります。
厳しい言い方をすれば、自分の市場価値が低いにもかかわらず、身の丈にあっていない給与を求めていることになります。
給与は、仕事の成果に対す対価です。
仕事で成果を残していないのであれば、まずは転職を考えるのではなく、
目の前の仕事で成果を残すためにはどうしたらいいのか、真剣に考えて結果を残しましょう。
それが、一番の近道です。
自分のさらなる成長(キャリアアップ)を目指して
自分のさらなる成長や将来のキャリアを考えて「今(現職)の仕事が好調(順調)な時」に退社をする人がいます。
「退社」「退職」というキーワードはどうしても「ネガティブ」に捉えがちですが、「退社」「退職」において唯一「ポジティブな理由」だと言えます。
でも、なぜあえて絶好調な時に退職するのでしょうか?
好調な時に転職をするメリットは、
- 勢いそのままに自分が望む次の企業への転職確率が高くなる
- 転職後、次の企業でも活躍できる可能性が高くなる
- 姿勢やオーラにポジティブな感じが現れる
などがあげられます。
「今の仕事でやり残したことはない」「すべて出し切った」「ここで学ぶことも少ない」「環境を変えて新たな挑戦がしたい」など、ポジティブな気持ちで転職活動を行うことは重要です。
逆に、
上司が嫌だ / 人間関係で悩んでいる / 給与が低い/労働時間が長い / 業務内容に不満がある / などネガティブな転職理由はいろいろあります。
ネガティブな理由を引きずったまま転職活動をすることはオススメできません。
転職活動中の面接で態度や姿勢に現れてしまいます。
また、面接中に「現職を辞める理由」を聞かれた時に、間違ってもネガティブな理由を口にしてはいけません。
面接官は「うちに入社しても同じ理由ですぐ辞めてしまうかも・・」と感じます。
転職をすべき「最適なタイミング」に関しては別記事で詳しく解説していますので参考にしてください。
②退職理由
退職者の生の声
最近、残念なことに仲の良かった同僚が2人退職しました。
2023年に2回目の転職を考えている私(著者)は、退職した同僚が「どうして退職するのか」「次の就職先はどこか」を聞いてみることにしました。
▼概要
現在、私(著者)は「プラットフォーム」の運営しているITベンチャー企業に勤めています。
▼2人に聞いた理由 → 私と状況が近いから
- 私と年齢が近かったから
- 私もカスタマーサクセスをやっていたから(同じ職種 / 業務)
- 私と在籍期間が近かったから
今、あなたが転職を考えていなかったとしても、職場の同僚に退職をする人がいる場合、
「①:次の就職先」「②:次の就職先での業務内容」「③:なぜ、退職するのか」
この3つが聞ける仲ならば、積極的に聞いてデータとして蓄積しておきましょう!
なぜ、そんなことをするのか?
それは、あなたが転職をする際に、その情報がとても役に立つからです。
具体的には、
「①:次の就職先」「②:次の就職先での業務内容」がわかっていると、自分もその業界や職種に転職をできる可能性が高いことが判断できます。
また「①:次の就職先」「②:次の就職先での業務内容」の情報をもとに、企業の「採用募情報(HPなど)」を確認すれば、転職先での年収がおおよそわかります。
いまの会社でしばらくは勤め続けると考えている人や人事部の人は「③:なぜ、退職するのか」を理解し改善することで、大切な仲間の新たな流失を防ぐことができるかもしれません。
Wさんの退職理由
概要 | 男性 32歳 2022年10月退社 |
大学 | 4年生私立大学卒業 |
転職回数 | 今回の転職で3回目 |
前職 | ワインの小売販売 |
退職前の業務 | ITベンチャー企業 SaaS カスタマーサクセス |
在籍期間 | 2年3ヶ月 |
転職先 | 大手人材会社 マーケティング |
退職理由:中長期的な金銭面の不満
元々の入社理由は、ITベンチャー企業で「インサイドセール」や「カスタマーサクセス」が学びたかったため入社。
しかし、昨年、結婚し「自己成長」よりも「金銭面」に重きを置くようになっていた。
現職で給与が上がっていくイメージが持てなかった。また、目標が高すぎて達成できるイメージが持てなかった。
業務内容は好きだったため、すぐに転職することを考えていた訳ではなかったが、転職エージェントに登録して自分の年収希望が叶う会社から内定をもらえたため退職を決意。
Iさんの退職理由
概要 | 男性 30歳 2022年12月退社 |
大学 | 4年制国立大学卒業 |
転職回数 | 今回の転職で2回目 |
前職 | 大手人材会社 転職エージェント |
退職前の業務 | ITベンチャー企業 SaaS カスタマーサクセス |
在籍期間 | 1年2ヶ月 |
転職先 | ITベンチャー企業 SaaS カスタマーサクセス |
退職理由:ITベンチャー企業でカスタマーサクセスを極めたい
元々の入社理由は、ITベンチャー企業で「インサイドセール」や「カスタマーサクセス」が学びたかったため入社。
入社後「新規顧客獲得チーム」と「カスタマーサクセスチーム」の間に橋渡しとして新設された「オンボーディングチーム」に配属される。
新設チームの立ち上げと「文字通り」顧客のオンボーディングを経験し、この経験をさらに深いもにするためにカスタマーサクセス業務が未成熟な20人規模のITベンチャー企業に転職を決意。
③まとめ
ベンチャー企業を退職する本当の理由6選と題して解説してきましたが、まとめますと以下のような形になります。
退職理由 | 良し悪し |
---|---|
入社前と入社後のギャップの差が大きかった | 転職した方が良い |
人間関係 | 転職した方が良い |
会社の成長性を感じ無くなった | 転職した方が良い |
転職前に描いていたキャリアが全く実現できない | 転職しない方が良い |
金銭面(給与 / 年収) | 転職しない方が良い |
自分のさらなる成長(キャリアアップ)を目指して | 転職した方が良い |
「入社前と入社後のギャップの差が大きかった」と「人間関係」に関しては消してネガティブな退職ではありません。
そのまま、我慢している方が心身にとってよくありません。最悪の場合、心身を病んで働けない状態になってしまうかもしれません。
そうなる前に、1日でも早い退職をオススメします。
「勤めている会社が好きだ」「お世話になった先輩を尊敬している」「同期仲がとても良い」
このような状況でも「会社の成長性を感じ無くなった」場合、転職活動を始めることをオススメします。
人との関りは、退職すると驚くほどきれいに無くなります。
私も前職のとき、週3で飲みに行くほど仲の良かった先輩がいましたが、退職後、一度も会っていません。
道半ばで愛着のある会社や仲間を裏切るようで心苦しく感じますが、市場の変化が激しい現代において、そのまま業績が下がり続け会社が倒産することもあります。
一個人の頑張りだけでは、何もかえられません。
自分の将来のキャリアを考えた時に、斜陽産業や業績が不振な企業に居続けるより、見切りをつけて転職をすることをオススメします。
退職には、ポジティブな理由もネガティブな理由もありますが、状況に応じた最適な判断の役に立てばうれしいです。